窓の外を楽しそうに歩くカップルや、SNSでキャリアを謳歌している友人の投稿を見て、胸がキュッと締め付けられることはありませんか?
自分は一日中、言葉の通じない赤ちゃんと二人きり。髪はボサボサで、服はミルクの吐き戻しで汚れたまま。自分のトイレのタイミングさえ自由にならない毎日が続く。
「あーあ、昔に戻りたいな」
「私、母親に向いてないのかもしれない」
ふとそう思ってしまった直後、「なんて酷いことを考えてしまったんだろう」と、腕の中で眠る可愛い我が子の寝顔を見て、自己嫌悪で涙が出る。
もし今、あなたがそんな葛藤の中にいるなら、安心して聞いてください。「昔に戻りたい」と思うのは、あなたが赤ちゃんを愛していないからではありません。それは、あなたが「あなた自身の人生」を大切に、そして一生懸命に生きてきた何よりの証拠なのです。
今日は、ママという大きな役割の影で、静かに泣いている“私”という存在を、優しく抱きしめるようなお話をさせてください。
それは「わがまま」ではなく「喪失感(グリーフ)」
私たちは、赤ちゃんが産まれたその瞬間から、周囲に「お母さん」と呼ばれるようになります。誰もが「おめでとう」と祝福してくれますが、その輝かしい瞬間の裏で、私たちは多くのものを失っています。
- 自由な時間: 好きな時に寝て、好きな時に出かけられた日々。
- 自由に動ける身体: 自分のペースで歩き、食事を楽しめた身体。
- 仕事やキャリア: 社会の中で築き上げてきた役割や目標。
- 社会との繋がり: 同僚や友人との気兼ねない交流。
- 「〇〇さん」という個人の名前: 誰かのママではない、一人の人間としてのアイデンティティ。
これらを、出産を機に一気に手放したのですから、心が追いつかなくて当然です。心理学では、大切なものを失った時に経験するこの心のプロセスを**「喪失体験(グリーフ)」**と捉えることもあります。
新しい命が生まれたことへの喜びと、失った過去への悲しみ。この二つの感情は、決して矛盾するものではなく、心の中に同時に存在していいのです。
「昔に戻りたい」という切ない思いは、頑張っている今のあなたから、過去のあなたへの「今までありがとう、楽しかったよ」という感謝の手紙のようなもの。だから、罪悪感を持つ必要はありません。まずはその気持ちを、あなた自身が認めてあげてください。
「母親」である前に、一人の「人間」です
「子供のためなら、自分のことは後回しにするのが良い母親」
いつの間にか、そんな見えない呪いのような言葉に縛られていませんか?自分の欲求を押し殺すことが、母としての美徳だと感じていませんか?
でも、yonkaはこう考えます。ママの心が砂漠のようにカラカラに乾いてしまっては、赤ちゃんに愛という潤いを注ぐことはできません。
シャンパンタワーを想像してみてください。一番上のグラスが「ママの心」で、その下の段が「赤ちゃんや家族」です。一番上のグラスが空っぽのまま、下のグラスを満たすことは物理的に不可能です。まず最初に満たされるべきは、他の誰でもない、あなた自身の心なのです。
「子供より自分を優先するなんて、母親失格だ」と思う必要はありません。あなたが心から笑顔でいることこそが、結果として赤ちゃんにとって最高の情緒的環境になるのですから。
1日5分、自分だけの“私”を取り戻すリハビリ
「ママ」という分厚い鎧を脱いで、ただの「私」に戻る時間を、意識的に作ってみましょう。長時間である必要はありません。ほんの数分でも、その時間はあなたの心の栄養になります。
1. 五感を「自分のため」に使う
赤ちゃん中心の生活では、五感も赤ちゃんに最適化されがちです。その意識を、ほんの少し自分に向けてみましょう。
- 好きな香りのハンドクリームを丁寧に塗り込み、その香りを深く息を吸って味わう。
- 子供向けの童謡ではなく、自分が青春時代に聴いていたアーティストの曲をイヤホンで聴きながらミルクを作る。
- 高級なものでなくてもいい。コンビニの新作スイーツを、キッチンの隅でこっそり味わう。その5分間だけは「おやつ」ではなく「デザート」です。
2. 「ママっぽくない」ものを身につける
汚れてもいい服、機能性重視の服ばかり選んでいませんか?家の中にいる時だけでも、お気に入りのピアスをつけたり、少し派手な色のリップを塗ってみてください。
鏡に映った自分の姿が「所帯じみたお母さん」ではなく「私が知っている私」に見えるだけで、心は驚くほど軽くなります。それは、失ったアイデンティティを取り戻すための、大切な儀式なのです。
3. 誰かに頼る練習をする
日本中のママが苦手とする「誰かに頼る」という行為。しかし、これは「育児放棄」ではありません。「リフレッシュ」という、母親にとって最も重要な業務の一つです。
- 「美容院に行きたいから、2時間だけ見ててくれないかな?」
- 「一人でゆっくり本が読みたいから、30分だけ散歩に連れて行ってほしい」
パートナーや両親、一時預かりサービスなど、使えるものは何でも使いましょう。物理的に赤ちゃんと離れる時間を作ることで、初めて客観的に我が子の愛しさを再確認できることもあります。
まとめ|あなたは、あなたのままで変化していける
「昔の自分に戻りたい」と泣いた日の夜も、あなたはきっと赤ちゃんのオムツを替え、眠い目をこすりながら授乳をしているはずです。
悩みながら、逃げ出したいと思いながら、それでも逃げ出さずに今ここにいる。それだけで、あなたは十分に、最高に立派な母親です。
残念ながら、独身時代の自分に完全に戻ることはできません。しかし、**昔の自分も含めた「新しい私」**に、これからゆっくりと進化していくことはできます。
焦らなくて大丈夫です。今はまだ産後の混乱の中にいるかもしれませんが、必ず「ママである私」と「個人の私」が心地よく共存できる日が来ます。
辛くなったら、またここに来てください。yonkaは、「ママ」という役割だけでなく、「あなた自身」の幸せを、心から願っています。
よくある質問(Q&A)
Q. 赤ちゃんを可愛いと思えない時があり、怖いです。
A. それは疲れのサインです。愛がないわけではありません。
人間は、極度の睡眠不足や疲労状態にある時、他者(たとえ我が子であっても)を愛おしく思う機能が一時的に低下します。「可愛いと思えない」と感じたら、それはあなたの心が発している「休め」の緊急アラートです。自分を責める代わりに、15分でもいいので睡眠を確保する方法を考えましょう。少し休めば、愛しさは必ず戻ってきます。
Q. 働いている友人がキラキラして見え、羨ましくて連絡を絶ってしまいました。
A. 今は自分を守るために、それで正解です。
隣の芝生は青く見えるものです。他人の輝いている部分だけを見て比較し、落ち込んでしまうなら、SNSのアプリを一時的に消す、連絡を控えるなどして情報を遮断しましょう。それは逃げではなく、自分の心を守るための積極的な防御策です。あなたの心が回復して、自分に自信が持てるようになったら、また笑って会えるようになります。
Q. 夫は生活が何も変わらなくてズルい、と思ってしまいます。
A. その気持ち、素直に吐き出してみましょう。
パパはずっと同じ景色を見ていますが、ママの世界は180度激変しています。その不公平感は、感じて当然です。「何であなただけ自由なの!」と喧嘩腰になるのではなく、「私はこんなに孤独を感じている。社会から取り残されたみたいで寂しい。ただ話を聞いてほしい」と、自分の弱さや寂しさを伝えてみてください。言葉にすることで、少しだけ心の重荷が軽くなるはずです。
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