その激痛、「気合」で乗り越えようとしていませんか?
「ふにゃ〜」
ベビーベッドから、世界で一番愛おしい声が聞こえる。
あなたは「はいはい、今行くね」と優しい気持ちで赤ちゃんを抱き上げようとします。
しかし、その瞬間、手首の親指側にまるで雷が落ちたかのような激痛が走る。
「痛っ…!」
思わず赤ちゃんを落としそうになるほどの痛み。
あまりの激痛に冷や汗が出て、抱き上げる腕が震える。
その恐怖から、我が子を抱っこすることさえ、ためらってしまう。
日々の生活でも、
- ペットボトルのキャップが開けられない
- フライパンを持つ手が震えて、料理がままならない
- スマホをスクロールする親指の付け根がズキズキ痛む
- 赤ちゃんの服のボタンを留める、細かな作業が苦痛でしかない
もしあなたがこんな症状に悩まされているなら、それは単なる筋肉痛や気のせいではありません。
あなたは今、**「ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)」**という、産後ママにとっての避けがたい「職業病」にかかっている可能性が非常に高いです。
勇気を出して整形外科に行けば、おそらくこう言われるでしょう。
「使いすぎです。手首を休ませて、安静にしてください」
その言葉を聞いた瞬間、あなたの心はこう叫ぶはずです。
「安静にできるわけないじゃない!誰がこの子の世話をするの!?」
そう、yonkaは知っています。
24時間、年中無休で続く育児という名の重労働に、「安静」という選択肢は存在しないことを。
だからこそ今日は、この待ったなしの育児生活の中で、これ以上あなたの大切な手首をいじめ抜かないための**「現実的な対処法」と「痛みを分散させる生活ハック」**を具体的にお伝えします。
これは、気合や根性論ではどうにもならない痛みを、知恵と工夫で乗り切るための戦略マニュアルです。
なぜ産後のママの手首は悲鳴を上げるのか?3つの要因
「子供を産む前は、こんなことなかったのに…」
そう思うのも当然です。産後の身体は、ただの「使いすぎ」だけでは説明できないほど、腱鞘炎になるべくしてなる特殊な条件が揃っているのです。
1. ホルモンのいたずらで「腱」そのものが脆くなっている
最大の原因は、ホルモンバランスの劇的な変化です。
産後のママの体内では、「プロゲステロン」や「リラキシン」といったホルモンが分泌されています。これらは本来、出産をスムーズにするために骨盤周りの靭帯を緩める働きをしますが、その影響は全身に及びます。
手首にある、腱(筋肉と骨をつなぐスジ)や、それを包むトンネルである腱鞘(けんしょう)も、このホルモンの影響で緩み、むくみやすい状態になっています。
通常時なら何でもないような少しの摩擦や負担でも、むくんでデリケートになった腱と腱鞘はすぐに炎症を起こし、「腱鞘炎」を発症してしまうのです。
2. 首のすわらない赤ちゃんを支える「NG抱っこ」の罠
新生児期から生後3〜4ヶ月頃まで、赤ちゃんはまだ首がすわっていません。
そのため、抱き上げる際には必ず頭を支える必要があります。
この時、多くのママが無意識にやってしまうのが、**「親指と人差し指でL字を作り、手首を内側にグイッと曲げた状態で」**赤ちゃんの頭と首をホールドする抱き方です。
この「手首を不自然に曲げたまま、重い負荷をかける」という動作こそ、親指側の2本の腱(短母指伸筋腱と長母指外転筋腱)に最も過酷なダメージを与える、まさに自傷行為とも言えるNGアクションなのです。
毎日何十回と繰り返されるこの動作が、腱と腱鞘を激しくこすり合わせ、炎症を悪化させていきます。
3. 24時間ノンストップの「手首酷使スパイラル」
育児は抱っこだけではありません。
- 1日に10回以上のオムツ替え
- 頻回授乳での赤ちゃんの頭のサポート
- 沐浴での身体の支え
- 搾乳器の操作
- 山のような洗濯物や哺乳瓶洗い
これら全ての動作で、私たちは無意識に手首や親指を使っています。
痛みがあるからと休ませたくても、赤ちゃんは待ってくれません。
痛みをこらえて手首を使う→さらに炎症が悪化する→もっと痛くなる、という負のスパイラルから抜け出せなくなっているのです。
今すぐ実践!手首を守るための「痛み分散」生活テクニック
「安静にできないなら、どうすればいいの?」
答えは、**「手首への負担を、身体の他の部分に賢く分散させる」**ことです。
今日から、あなたの意識と行動を少し変えるだけで、手首の負担は劇的に減らせます。
1. 抱っこは「点」ではなく「面」で支える
今日から、「手」や「指」で赤ちゃんを抱っこするのをやめましょう。
意識すべきは、**「前腕(肘から手首までの腕全体)」という広い「面」**で赤ちゃんの体重を均等に受け止めることです。
手首の力は一切使わず、関節を真っ直ぐに固定したままにします。
そして、まるでショベルカーが土をすくい上げるように、腕全体を一つのユニットとして赤ちゃんの体の下に滑り込ませ、持ち上げます。
この「ロボットアーム抱っこ」を意識するだけで、親指の付け根や手首にかかる局所的な圧力は半分以下に軽減されます。
床から抱き上げる時も、まずは自分が膝をついて赤ちゃんと同じ高さになり、腕全体で身体をすくい上げてから立ち上がるようにすると、さらに負担を減らせます。
2. 授乳クッションは「高さ」が命。ケチらずに底上げする
授乳時間は、1日に何度も訪れる貴重な「手首の休憩時間」にしなければなりません。
「授乳クッションを使っているのに、なぜか手首が痛い…」
それは、クッションの高さがあなたの体格に合っていない証拠です。
授乳中、無意識に赤ちゃんの頭を手で支えたり、身体を引き寄せるために手首に力が入っていませんか?
それは、クッションが低すぎて、赤ちゃんがおっぱいの高さまで届いていないからです。
授乳クッションの下に、たたんだバスタオルや別のクッションを何枚か挟み込み、**「あなたが手を完全に離しても、赤ちゃんが楽におっぱいを飲める高さ」**まで、徹底的に底上げしてください。
正しい高さに調整できれば、ママは腕を添えるだけで済み、手首と指を完全にリラックスさせることができます。
3. 日常の家事は「便利グッズ」と「発想の転換」で乗り切る
痛みを抱えながらの家事は、拷問に等しいです。使えるものは何でも使い、手首をいじめる作業から徹底的に逃げましょう。
- 調理:重い鉄のフライパンや片手鍋は、一時的に封印しましょう。軽量なフライパンや、両手で持てる鍋を選びます。盛り付けの際、菜箸は意外と指先に負担がかかります。パスタトングやシリコン製の調理スプーンを使えば、握る力が最小限で済みます。
- スマホ操作:片手でスマホを持ち、親指でスクロールする行為は、腱鞘炎の親指に塩を塗り込むようなものです。絶対にやめてください。スマホは必ずテーブルに置いて操作するか、両手で持ち、痛くない方の手の指で操作する癖をつけましょう。音声入力の活用も有効です。
- 着替え:赤ちゃんの服は、ボタンタイプよりもスナップボタンや紐タイプ、マジックテープ式のものを選ぶと、指先の細かい作業を減らせます。
- その他:ペットボトルのキャップは、オープナーを使う。雑巾は絞らず、蛇口の角に押し付けて水を切る。シャンプーはポンプ式のものにする。など、日常のあらゆる場面で「握る」「ひねる」という動作を避ける工夫をしましょう。
痛みが限界なら躊躇しない!「道具」と「医療」に頼る勇気
セルフケアだけでは痛みがコントロールできなくなったら、それは専門家や文明の利器に頼るべきサインです。我慢は美徳ではありません。悪化させて手術になる前に、積極的に外部の力を借りましょう。
1. 最終兵器「ヒップシート」を導入する
抱っこ紐はすでに持っている方が多いと思いますが、腱鞘炎のママに特におすすめしたいのが**「ヒップシート」**です。
これは、腰ベルトに頑丈な台座(椅子のような部分)がついた抱っこグッズで、ここに赤ちゃんをポンと乗せるだけで抱っこができます。
腕は赤ちゃんが落ちないように軽く添えるだけで済むため、手首や腕への負担がほぼゼロになります。
「ちょっとグズったから抱っこ」「寝かしつけのために少し歩き回る」といった、短時間の「ちょい抱っこ」の場面で絶大な効果を発揮します。
家の中で常に腰に巻いておけば、赤ちゃんが泣くたびにサッと乗せることができ、手首への負担を劇的に減らすことができます。装着が簡単なのも、心に余裕がないママにとっては大きなメリットです。
2. 手首の保護具「サポーター」で強制的に休ませる
ドラッグストアやオンラインで手に入る手首用サポーターも、非常に有効なアイテムです。
選ぶ際の重要なポイントは2つあります。
- 親指までしっかり固定できるタイプを選ぶこと。手首だけを巻くタイプでは、ドケルバン病の原因となる親指の動きを制限できません。
- できれば金属や樹脂製のプレート(支柱)が入っているものを選ぶこと。これにより、手首が不自然な方向に曲がるのを物理的に防ぎ、強制的に固定できます。
ガチガチに固定されるため、日中の家事はしにくくなりますが、就寝中だけでも装着することを強く推奨します。寝ている間に無意識に手首を曲げてしまったり、痛い方の手で頭を支えてしまったりするのを防ぎ、腱と腱鞘が回復するための貴重な時間を作ってくれます。
3. 整形外科での「注射」という選択肢
「痛いけど、授乳中だから薬は飲めないし、湿布もダメだよね…」
そう思い込んで、激痛を我慢し続けていませんか?それは誤解かもしれません。
整形外科では、痛みが強い腱鞘炎に対して**「ステロイド注射(腱鞘内注射)」**という治療を行うことがあります。これは、炎症を起こしている腱鞘の中に直接、強力な抗炎症薬を注入する治療法です。
全身に作用する飲み薬とは異なり、ごく少量を局所的に使用するため、授乳中でも問題ないと判断する医師がほとんどです(治療前には必ず、授乳中であることを医師に伝え、相談してください)。
この注射は非常に効果が高く、長期間苦しんだ痛みが嘘のように、劇的に楽になるケースも少なくありません。
「日常生活に支障が出るレベルの痛み」で悩んでいるなら、一人で抱え込まず、一度整形外科の門を叩く勇気を持ってください。
まとめ|ママの手は、家族を守る「魔法の手」。だからこそ、大切に。
産後の腱鞘炎は、多くのママが経験するありふれた症状です。
しかし、「みんな通る道だから」と軽く考え、放置してしまうと、痛みが慢性化し、日常生活が困難になるだけでなく、最悪の場合は腱鞘を開くための手術が必要になることもあります。
「たかが手首の痛み」と、絶対に侮らないでください。
あなたのその手は、赤ちゃんを優しく抱きしめ、お腹を撫で、涙を拭いてあげるための「魔法の手」です。
家族のために美味しいご飯を作り、家を清潔に保つための「創造の手」です。
そんなかけがえのない手を、これ以上あなた自身で痛めつけないでください。
辛い時は、周りを頼っていいのです。
- 抱っこは「道具」に任せる。
- 家事は「手抜き」や「時短」を徹底する。
- 耐えられない痛みは「医療」の力で取り除く。
使えるものは全て使い、あなたの大切な「魔法の手」を守り抜きましょう。
それが、あなた自身と、あなたの愛する家族を守ることに直結するのですから。
よくある質問(Q&A):腱鞘炎の「?」をスッキリ解消!
Q. 授乳中でも湿布は貼ってもいいですか?
A. 薬剤師に相談の上、使用可能なものを選びましょう。
市販の湿布薬(インドメタシン、フェルビナク、ロキソプロフェンなど)の多くは、皮膚から吸収される量がごく微量であるため、授乳中でも使用は可能とされる場合がほとんどです。しかし、安全を期すために、購入時には必ず薬局の薬剤師に「授乳中です」と伝え、使用できるか確認してから購入しましょう。
ただし、湿布はあくまで一時的な「痛み止め(対症療法)」であり、炎症そのものを根本的に治す力は弱いです。サポーターによる固定と併用し、原因となる動作を避けることが最も重要です。
Q. 痛いところは「冷やす」のと「温める」の、どっちがいいですか?
A. 急性期は「冷やす」、慢性期は「温める」のが基本です。
急に痛みが強くなった時や、何もしていなくてもズキズキと痛む時、患部が熱っぽく感じられる時(急性期)は、炎症が起きている証拠です。保冷剤をタオルで包んだものなどで15分程度冷やし、炎症を鎮めましょう。
一方、激しい痛みは治まったものの、動かすと鈍い痛みが続くような時期(慢性期)は、逆にお風呂などで温めて血行を良くすると、筋肉の緊張がほぐれて痛みが和らぐことがあります。自分の症状に合わせて使い分けてください。
Q. 自分で腱鞘炎かどうかチェックする方法はありますか?
A. 「フィンケルシュタインテスト(Finkelstein test)」を試してみてください。
これは整形外科でも行われる、ドケルバン病の簡単なセルフチェック法です。
- 痛い方の手の親指を、手のひらの内側に入れます。
- 残りの4本の指で、その親指を包み込むように握りこぶし(グー)を作ります。
- その状態のまま、手首をゆっくりと小指側に曲げていきます。
この動作で、手首の親指の付け根あたりに激しい痛みが走れば、ドケルバン病である可能性が非常に高いです。
ただし、このテスト自体が腱に負担をかけるため、無理に強く曲げたり、何度も繰り返したりしないでください。痛みを感じたらすぐにケアを始め、症状が改善しない場合は専門医に相談しましょう。
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