赤ちゃんを迎える準備は、本来、喜びに満ちた時間のはず。しかし、情報が溢れる現代では、「足りなかったらどうしよう」という不安から、つい準備に力が入りすぎてしまうことがあります。ベビー用品店のリストを片手に、来る日も来る日もネットで口コミを検索し、気づけば「準備」そのものに疲れ果ててしまう…そんな経験を持つプレママは少なくありません。
しかし、実際に出産・育児を経験した先輩ママたちから驚くほどよく聞かれるのは、「足りなかった」という後悔よりも、「やりすぎた」という後悔の声です。
「あんなに調べたのに、思ったより使わなかった」
「可愛いからと買ったけど、こんなにいらなかった」
「準備に必死になりすぎて、もっとゆっくり過ごせばよかった」
実は、出産準備で抱えやすい後悔の多くは、”不足”ではなく”過剰”から生まれています。不安を消すために物を増やし、情報を集めすぎた結果、かえって物や情報に振り回されてしまうのです。
この記事では、そんな「やりすぎ後悔」を避け、本当に「準備してよかった」と心から思えるポイントに絞って、具体的な準備の考え方を詳しく解説します。準備を「足し算」から「引き算」に切り替えることで、もっと肩の力を抜いて、穏やかなマタニティライフを送りましょう。
妊娠中に準備しすぎて後悔しやすいこと
まずは、多くの先輩ママが「ちょっとやりすぎたかも…」と振り返る、後悔しやすい準備の具体例を見ていきましょう。これらに共通するのは、「不安」を原動力にした過剰な準備であるという点です。
① ベビー服を大量にそろえること
出産準備の中でも特に楽しく、そして最も「やりすぎ」に陥りやすいのがベビー服です。小さくて可愛らしいデザインを見ていると、つい「これも可愛い」「あれも着せたい」と、次から次に手が伸びてしまいます。
しかし、ここには大きな落とし穴があります。生まれたばかりの赤ちゃんの成長スピードは、大人の想像を遥かに超えているのです。
- 驚異的な成長スピード: 多くの赤ちゃんは、生後3ヶ月で出生時の約2倍の体重になります。つまり、新生児期に着られた服は、ほんの数週間から1ヶ月程度でサイズアウトしてしまうことがほとんどです。
- 吐き戻しやおむつ漏れとの戦い: 新生児期は、ミルクの吐き戻しやおむつ漏れが日常茶飯事です。そのため、着替えの頻度は高くなりますが、結果として「洗濯しやすくて乾きやすい、お気に入りの数着」をヘビーローテーションで着せることになります。凝ったデザインの服やデリケートな素材の服は、だんだん出番がなくなっていきます。
- 季節の変化: 買った時は可愛くても、いざ着せようと思ったら季節が合わなかった、というのもよくある話です。
結果として、クローゼットには「一度も袖を通さなかった服」や「タグが付いたままの服」が残ってしまい、「あんなに買ったのにもったいなかったな」という小さな罪悪感と後悔につながりやすいのです。可愛さのあまり買い揃えたくなる気持ちは痛いほど分かりますが、まずは最低限の枚数からスタートするのが賢明です。
② サイズや季節を先読みしすぎること
「どうせすぐに大きくなるから、少し大きめのサイズを買っておこう」
「セールになっているから、次の秋冬用の服も今のうちに用意しておこう」
一見すると、これは非常に計画的で賢い準備のように思えます。しかし、この「先読み」こそ、最も予測が外れやすいポイントなのです。
- 成長スピードの個人差: 赤ちゃんの成長曲線は、本当に人それぞれです。標準よりゆっくり大きくなる子もいれば、ぐんぐん大きくなる子もいます。「1歳頃にはこのサイズだろう」という予測は、大きく外れる可能性があります。
- 季節とサイズのミスマッチ: 「来年の夏用に」と買っておいた80cmのTシャツが、いざ夏が来てみるとまだブカブカだったり、逆に「冬にはちょうどいいはず」と思ったアウターが、秋のうちにパツパツになってしまったり。そんな悲劇は後を絶ちません。
先のシーズンのものを買うなら、サイズ選びが比較的シビアではない靴下や帽子、季節を問わないおくるみなどにしておくのが無難です。服に関しては、その季節が来て、赤ちゃんの実際のサイズを見てから買い足すのが、最も無駄がなく、失敗の少ない方法です。「生まれてからで十分間に合う」という事実を知っておくだけで、不要な先行投資を減らすことができます。
③ 情報を集めすぎること
「失敗したくない」「完璧な準備をしたい」という真面目な気持ちが、時に自分を追い詰める原因になります。特にインターネットには、ありとあらゆる情報が溢れています。
- Aという記事では「絶対に買うべき」と紹介されている育児グッズが、Bというブログでは「不要だったものワースト1」として挙げられている。
- SNSを開けば、完璧に整えられたベビーコーナーや、産後とは思えないほど美しいママの姿が目に入る。
本来、安心材料として集め始めたはずの情報が、いつの間にか「どれが正解なの?」という混乱や、「みんなはできているのに私は…」という他人との比較、そして「これも足りないかもしれない」という焦りを生み出します。
情報過多は、精神的な疲労に直結します。読んでいて気持ちが苦しくなったり、不安が増したりする情報は、それがどんなに「有益」とされるものであっても、今のあなたには必要ない毒かもしれません。時には意識的にスマートフォンを置き、「情報断食」をする勇気も大切です。
一方で「ちょうどよかった」と感じやすい準備
では、逆にどんな準備が「本当にやっておいてよかった」という満足感につながるのでしょうか。それは、物の「量」ではなく、「質」や「意味」にフォーカスした準備であることが多いようです。
① 最低限で質の良いベビー服
「量はたくさんいらない」と前述しましたが、その代わりにお勧めしたいのが、「質にこだわった最低限の服」を準備しておくことです。
- 肌にやさしい素材: 生まれたての赤ちゃんの肌は非常にデリケートです。オーガニックコットンなど、肌触りが良く、安心して着せられる素材の服は、ママの心の安心にもつながります。
- 着せやすい機能性: スナップボタンが留めやすい、紐が少ない、タグが外側についているなど、お世話のしやすさを考えられたデザインは、日々の小さなストレスを確実に減らしてくれます。
- 洗濯に強い耐久性: 何度洗濯してもヨレたり縮んだりしにくい、丈夫な作りの服。結果的にこれが一番長く、一番よく使う服になります。
「数が少ないからこそ、一軍だけの精鋭を揃える」という考え方です。「迷ったらこれを着せておけば大丈夫」という信頼できる一着があることは、物の数以上の大きな安心感をもたらしてくれます。
② 退院や写真用の“意味のある1着”
日常使いの服は最低限で良い一方で、特別な「ハレの日」のための1着は、後々の満足度が非常に高い準備です。
- 退院の日: 長い入院生活を終え、初めて我が子と家に帰る、記念すべき日。その日のために選んだセレモニードレスやお気に入りのベビーウェアは、家族にとって特別な思い出になります。
- お宮参りや家族写真: 後から何度も見返すことになる記念写真。その時のために「これを着せたい」とこだわって選んだ一着は、写真を見るたびに当時の幸せな気持ちを蘇らせてくれます。
これらの服は、使用頻度は低いかもしれません。しかし、「この日のために」という目的が明確なため、「使わなかった」という後悔にはつながりにくいのです。むしろ、その服を見るたびに「あの時、この服を選んで本当によかった」と思える、プライスレスな価値を持つ準備と言えるでしょう。量よりも「気持ちが動くか」を基準に選ぶ好例です。
③ 生活をシンプルにするための準備
意外かもしれませんが、多くの先輩ママが「やっておいてよかった」と挙げるのが、「物を増やす準備」ではなく、産後の生活の「動線を整える準備」です。
産後の疲れた頭では、「あれはどこだっけ?」と探すこと自体が大きなストレスになります。だからこそ、妊娠中に「迷わない仕組み」を作っておくことが非常に役立ちます。
- 服の置き場所を決めておく: 赤ちゃんのお世話をする場所(リビングなど)のすぐ近くに、おむつ、おしりふき、着替え一式をまとめた「お世話セット」を配置する。
- 洗濯の流れを考えておく: 赤ちゃんの服はどこで洗い、どこに干し、どこに収納するのか。パートナーとも共有し、シミュレーションしておく。
- 迷わない状態をつくる: 「肌着はここの引き出し」「ガーゼはここのカゴ」と定位置を決めておく。
これはお金もかからず、すぐに始められる準備です。物を一つ増やすよりも、収納場所を一つ決める方が、産後のあなたをずっと楽にしてくれます。
後悔を減らすための、妊娠中の考え方
「やりすぎ後悔」を減らし、「ちょうどいい準備」をするためには、どのようなマインドセットでいれば良いのでしょうか。
「生まれてからでも間に合う」を基本にする
迷ったら、この魔法の言葉を思い出してください。現代の日本において、育児グッズのほとんどは、必要になってからでも数日以内に入手可能です。
- これって、今すぐ必要? → 退院後すぐに使うもの以外は、一旦保留。
- 生まれてから判断できない? → 赤ちゃんの好み(例:哺乳瓶の乳首)や性格(例:抱っこ紐の合う合わない)が関わるものは、産後に試してから買うのが確実です。
この問いを自分に投げかけるだけで、買うべきものは驚くほど厳選されるはずです。
「使う自分」をリアルに想像する
そのグッズを選ぶとき、「可愛い」「おしゃれ」という視点だけでなく、「産後の疲弊した自分が、夜中に使う」というリアルな視点を加えてみてください。
- 夜中でも説明書を読まずに使いやすいか?
- 片手で操作できるか?
- 疲れていてもメンテナンスが面倒ではないか?
この現実的な視点で選ぶと、デザイン性よりも機能性を重視するようになり、結果的に「買ってよかった」と思えるアイテムに出会える確率が高まります。
準備の目的は「安心」を増やすこと
最後に、出産準備の本来の目的を再確認しましょう。それは、「完璧な育児をすること」でも、「失敗をゼロにすること」でもありません。
準備の本当の目的は、**「未来への不安を少しだけ減らし、心の安心を少しだけ増やすこと」**です。
その準備が、あなたの心を軽くしてくれるなら、それは「良い準備」です。
逆に、その準備が、あなたを他人と比較させ、焦らせ、心を重くするなら、それは「やりすぎのサイン」かもしれません。
まとめ|準備は「足す」より「選ぶ」時代へ
情報も物も、探せば無限に見つかる時代。だからこそ、妊娠中の準備は、闇雲に「足す」のではなく、自分にとって本当に必要なものを「選ぶ」という意識が大切になります。
- ベビー服は、たくさんあっても結局使わないことが多い。
- 成長や季節の先読みは、予測が外れやすい。
- 情報は、集めすぎると不安の種になる。
- 本当に役立つのは、質の良い最低限の服。
- 思い出につながる「意味のある1着」は後悔しにくい。
出産準備は、赤ちゃんのためだけにするものではありません。産後の大変な時期を乗り切る、未来の自分自身を助けるためのものでもあります。
選びすぎず、抱えすぎず、あなたとあなたの家族にとって、本当に心地よい「安心」だけを厳選していく。そんな賢い準備で、穏やかな気持ちでその日を迎えてくださいね。
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