「昨日まではニコニコ笑う天使だったのに、今日から突然、手がつけられない怪獣になってしまいました……」
1歳を過ぎたあたりから、多くのママたちがこの急激な変化に戸惑い、頭を抱えています。
一生懸命、栄養バランスを考えて作った離乳食を「ブーッ!」と吐き出し、あろうことかお皿ごと床に投げつける。
オムツ替えをしようとすれば、プロレスラーのように身をよじって拒否し、脱走する。
スーパーの床で、まるでマグロのようにエビ反りになってギャン泣きし、周囲の視線が突き刺さる。
「なんてわがままなの!」
「ダメって何回言ったらわかるの!」
ついカッとなって大きな声で怒鳴ってしまい、後で寝顔を見ながら「まだたったの1歳なのに、あんなに怒らなくてもよかった……」「私、母親失格かも」と、深い自己嫌悪に陥って涙する。
そんな毎日を繰り返していませんか?
安心してください。深呼吸しましょう。
それはあなたの育て方が間違っているわけでも、お子さんの性格が悪いわけでも、愛情不足なわけでもありません。
それは、成長の証である**「第一次反抗期(プレ・イヤイヤ期)」**の幕開けなのです。
今日は、理屈の通じない1歳児という愛すべき「宇宙人」に対し、まともに戦って消耗することなく、ママのメンタルを守りながら「神対応」でかわすための、実践的なテクニックとマインドセットをお伝えします。
なぜ突然暴れるの? 脳内は「やりたい!」と「できない」の激しい戦い
そもそも、なぜ1歳児はあんなに理不尽に、突然スイッチが入ったように暴れるのでしょうか。
大人の理屈では理解できないその行動の裏には、実は**脳と身体の成長スピードの「ズレ」**という、本人にもどうしようもない事情が隠されています。
1. 「自我」の爆発的芽生え
0歳の頃は、ママと自分は一心同体だと思っていました。しかし1歳になると、「自分」という独立した意識が芽生え始めます。
「自分でやりたい!」「これは嫌だ!」「もっと触りたい!」という強烈な**「自我」**が生まれるのです。
これは、「言うことを聞かない」のではなく、一人の人間として自立しようとしている、素晴らしい成長の第一歩です。
まずは「おめでとう、自我が生まれたのね」と心の中で拍手を送ってあげてください。
2. 「能力」が追いつかないもどかしさ
しかし、心は「一丁前の人間」になろうとしているのに、身体能力や言語能力はまだ赤ちゃんに近いままです。
手先は不器用で、思うようにスプーンを扱えない。
言葉も話せず、「あの青い車のおもちゃが欲しい」という単純な要求さえ、ママにうまく伝えられない。
「自分で食べたいのに、スプーンですくえない!」
「アレが欲しいのに、ママは違うものを渡してくる!」
この**「理想(やりたいこと)」と「現実(できること)」の強烈なギャップ**によって生まれるフラストレーションが、行き場を失い、「キーーーッ!」という癇癪(かんしゃく)として爆発するのです。
つまり、彼らはわがままを言ってママを困らせようとしているのではなく、「悔しい! うまくいかない! 助けて!」と全身で叫んでいるだけなのです。
そう考えると、あのエビ反り泣きも、少しだけ愛おしく(あるいは不憫に)見えてきませんか?
ママの精神を削る最大のストレス「食事投げ」への神対応
1歳児育児において、ママの精神力を最もガリガリと削っていくのが、この「食事の投げ散らかし」問題です。
せっかく作ったご飯が宙を舞い、床がベトベトになり、顔や服にご飯粒がついている光景は、まさに地獄絵図。
これに対抗するには、真正面から叱るのではなく、「物理的対策」と「儀式」というクールな戦略を用います。
1. 「フランス料理方式」で被害を最小化する
なぜ被害が甚大になるのか。それは「投げるための弾薬(ご飯)」をお皿に山盛りにして渡してしまっているからです。
今日から、提供スタイルを「定食屋」から「高級フレンチのコース」に変えましょう。
一口サイズのおにぎりや、スティック状にした野菜を、**「一口分だけ」**目の前に置きます。
お皿は使いません。テーブル(またはハイチェアのテーブル)に、直接置いてもいいですし、吸盤付きでひっくり返らないタイプのお皿を使ってもいいでしょう。
それを食べたら、ママが「美味しいね」と言って、次の「一口」を置く。
わんこそば方式とも言えます。
これなら、もし癇癪を起こして投げられたとしても、被害は「米粒一つ」か「ブロッコリーひとかけら」で済みます。
床掃除の労力が100分の1になれば、ママのイライラも激減します。
2. 投げたら即「ごちそうさま」の儀式
遊び食べが始まり、食べ物を投げたり、ぐちゃぐちゃにして遊び始めたりしたら。
ここで「ダメでしょ!」「食べなさい!」と怒鳴っても、1歳児には「ママが大きい声を出して反応してくれた(遊んでくれた)」としか伝わりません。
効果的なのは、**「無の対応」**です。
投げた瞬間、目を見て、低い声で淡々とこう言います。
「投げたね。じゃあ、ごちそうさまね」
そして、即座に、無表情でお皿(または食べ物)を下げます。
子供が「まだ食べる!」と泣き叫んでも、その食事回は絶対に返しません。
これを繰り返すことで、子供は「ご飯を投げると、美味しいものが目の前から消える」というルールを、言葉ではなく**「結果(因果関係)」**で学習します。
「1回抜いたらお腹が空いて可哀想……」と心が痛むかもしれませんが、1食くらい抜いても死にません。
むしろ、ダラダラと遊び食べをさせてストレスを溜めるより、メリハリをつける方が長期的に見てお互いのためになります。心を鬼にして、女優になりきって実行してください。
公共の場での悪夢「のけぞり泣き(マグロ)」への神対応
家の中ならまだしも、スーパーや公園、電車の中などでこれをやられると、周囲の視線が気になって冷や汗が止まりませんよね。
「あそこのお母さん、しつけがなってないんじゃない?」と思われているような気がして、焦って無理やり泣き止ませようとしてしまう。
でも、1歳児に「世間体」なんて高度な概念は通用しません。
1. 説得しようとしない(現在、脳がショート中です)
癇癪を起こしてのけぞっている時、子供の脳内はパニック状態で、理性をつかさどる部分が完全にシャットダウンしています。
そんな時に「どうしたの?」「静かにして」「いい子だから」と理屈で説得しようとするのは、燃え盛る火事にじょうろで水をかけるようなもの。全く意味がないどころか、かえって火に油を注ぎます。
2. 安全確保して、心を「無」にする
まず、頭を床や壁に打ち付けないようにガードしたり、周囲の人にぶつからないよう安全を確保したりします。
それができたら、あとは**「嵐が過ぎるのを待つ」**のが正解です。
抱っこしようとしても暴れて余計に泣くなら、危険がない範囲で少し離れて、能面のようになって見守りましょう。
周囲の目が気になるなら、「すみません、今、成長の過程で絶賛修行中なんです」という顔をして、軽く会釈しておけば大丈夫です。
通りすがりの人たちも、多くは「ああ、あの大変な時期ね、頑張れ」と心の中で応援してくれています(本当に冷ややかな目を向ける人は、育児を知らない人なので無視してOKです)。
3. 「強制場面転換」の魔法を使う
ギャン泣きのピークが少し過ぎて、息継ぎをするタイミングが来たら、すかさず魔法を使います。
「あ! あそこにワンワン(犬)がいるよ!」
「見て! お外の葉っぱがキラキラしてる!」
「あっちでブーブー(車)を見に行こう!」
泣いている理由(お菓子を買ってほしかった、帰りたくなかった等)とは、全く関係のない話題を、驚いたような声で振り、その場から物理的に移動します。
1歳児の短期記憶は驚くほど短いです(ニワトリ並みと言われます)。
目の前の景色が変わり、新しい興味の対象が現れれば、「あれ? ボクなんで泣いてたんだっけ?」と忘れて、ケロッと笑い出すことも珍しくありません。
真面目に向き合わず、うまく「逸らす」スキルを磨きましょう。
「しつけ」はまだ早い。ママがやるべきは「環境」を整えることだけ
「こんなに乱暴で、将来大丈夫かしら?」
「今から厳しくしつけないと、わがままな子になってしまうのでは?」
真面目なママほど、将来を案じて厳しく叱ろうとします。
でも、はっきり言います。
1歳児に、社会的なルールや我慢、道徳心を求めるのは、**「猫に九九を教える」**くらい無理難題です。
脳の発達段階として、「我慢する」「相手の気持ちを考える」という機能がまだ備わっていないのです。
できないことを強要して叱るのは、お互いにとって不幸なだけです。
今の時期に必要なのは、「しつけ(叱る・教える)」ではなく、**「環境設定(予防)」**です。
- 触ってほしくないものは、手の届かない場所に隠す、バリケードを作る。
(「触っちゃダメ!」と叱る回数を物理的に減らす) - 危険なことは、「ダメ」と短く低い声で伝え、無言でその場から離す。
(長々とした説教はBGMにしかなりません) - 良いことをした時だけ、オーバーリアクションで全力で褒める。
(「ご飯食べたね! すごーい! 天才!」と拍手喝采する)
「叱る」という行為は、親のエネルギーを大量に浪費します。
「まだ日本語が通じない可愛い宇宙人だから、地球のルールが分からなくても仕方ない」
そう割り切って諦めることが、ママのメンタルを守る最大の秘訣です。
まとめ|ママが爆発しそうな時は、迷わず「逃げて」いい
毎日毎日、理不尽な怪獣と戦っていれば、ママだって人間です。
仏様ではありません。
「いい加減にしてよ!」
「もう知らない!」
と叫びたくなる時だって、必ずあります。
そんな時は、自分を責めないでください。
そして、子供をベビーサークルやベビーベッドなど、物理的に安全な場所に放り込んで、ママだけトイレや別室に**「逃げ込んで」**ください。
そして鍵を閉め、5分間、耳をふさいで深呼吸しましょう。
隠しておいたお気に入りの高いチョコレートを食べて、スマホを見てもいいです。
ママが笑顔を取り戻すために、一時的に子供から離れることは「育児放棄」ではありません。
親子の共倒れを防ぐための、立派な**「緊急避難措置」**です。
この壮絶な「怪獣期」は、永遠には続きません。
2歳、3歳と成長し、言葉でのコミュニケーションが取れるようになれば、必ず落ち着く日が来ます。
「あんなに暴れてた時期もあったな」と笑って話せる日が来ます。
だから今日は、床に散らばったご飯粒の掃除なんて適当でいいです。
お風呂も入らず寝ちゃってもいいです。
あなたは今日一日、怪獣から命を守り、育て上げました。それだけで100点満点です。
自分をたっぷりと労って、早めに布団に入ってしまいましょう。
よくある質問(Q&A)
Q. 気に入らないことがあると、親を叩いたり、つねったり、噛み付いたりしてきます。叩き返して教えるべきですか?
A. 絶対に叩き返してはいけません。
1歳児が叩いてくるのは、大人に対する「攻撃」や「悪意」ではありません。「ママの反応」を楽しんでいるか、言葉にできないモヤモヤした気持ちを身体で表現しているだけです。
ここで親が「叩かれたら痛いでしょ!」と叩き返してしまうと、子供は痛みで泣き止むかもしれませんが、同時に「気に入らない時は、人を叩いて解決すればいいんだ」という誤ったルールを学習してしまいます。
叩かれたら、真剣な顔(怒った顔)で目を見て、「痛いからやめて」と短く伝えます。そして、その手を優しく、でも力強く押さえて静止させます。「叩くことは許容しない」という毅然とした態度を見せ続けることが大切です。
Q. 癇癪を起こすと、頭を床や壁にガンガン打ち付けます。脳に障害があるのでしょうか?
A. 多くの場合は「自己鎮静」や「アピール」の一種です。
見ていて痛々しく、心配になりますよね。でも、これは言葉で伝えられないもどかしさからくる行動や、リズムを取ることで自分を落ち着かせようとする行動であることが多く、1歳〜2歳児にはよく見られます。
本当に痛ければ自分で手加減するので、大怪我になることは稀ですが、フローリングなど硬い場所ならクッションを挟んであげましょう。
ここで「キャー! やめてー!」と過剰に反応すると、「これをすればママが構ってくれる」と学習してしまうことがあります。危険がない限り、できるだけ冷静に見守り、落ち着いたら抱きしめてあげてください。
Q. 好き嫌いが激しくて、野菜を全く食べません。栄養バランスが心配でイライラします。
A. 「1週間単位」でバランスが取れていればOKと考えましょう。
昨日はバナナしかしなかった。今日はお米しか食べない。
そんな極端な偏食も、1歳児あるあるです。味覚が発達し、防衛本能(苦味や酸味を避ける)が働いている証拠でもあります。
無理に口に押し込んだり、「食べないとオヤツなし!」と脅したりすると、食事そのものが嫌いになってしまいます。
「人間、生きていれば100点」と割り切りましょう。楽しく食べられるものだけ食べていれば、そのうちまた食べるようになります。便秘や体重減少など極端な不調がなければ、今の時期の栄養バランスは神経質にならなくて大丈夫です。
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